2016年10月06日

希釈冷凍機 増幅器 1 「出力同軸線」

出力側の同軸線の選定をしていました。

10mKの極低温から4Kまでは言うまでもなくニオブチタンの2.19mm超伝導線なんですが、そこから高移動度トランジスタ増幅器の後段の配線材に何を使うか悩んでいました。オックスフォードの冷凍機と違い、室温の天板と4Kまでの距離が500ミリメートル弱あり、かなり損失に気を遣わなければなりません。

もっとも低損失の線材は熱伝導率もいいのでうまい配線材の選択を考えなければなりません。最初に考えたのはリン青銅の2.19mmでした。損失は50cmで約2.9dBですが、熱伝導がかなり大きいです。次にベリリウム銅の2.19mm材、これも損失が小さいですが熱流入量が大きいです。そしてキュプロニッケル。熱流入量は小さいんですが、損失が大きいんですよね。熱流入量の事を考えると結局ステンレススチールが一番良いことなりますが、減衰量は6.6dBとなります。6.6dBだと折角増幅した信号も半減ですよね。

いろいろ熱伝導率の温度積分値のデータを表にまとめると、下のようになります。使い方は以前説明したとおりです。
CuNi
(10%)
BeCuPBCSUSSilver
4-50K0.930.650.6040.135602(W/mm)
50K-300K8.8114.417.72.984(W/mm)

熱伝導率の悪いSUSの同軸線において、マイクロ波の電流密度が高いところだけを銀メッキした同軸線があることを思い出しました。銀は上の表においてとても熱伝導率が良いですが、メッキは5-8um厚ですので、2.19ミリメートル同軸線において断面積は0.1mm四方程度になるので熱伝導が抑えられます。そして4.6dB/mと低損失です。
Type減衰量
(dB/m)
@10GHz
リン青銅SC-219/50-PBC-PBC6.1
ベリリウム銅SC-219/50-B-B4.1
キュプロニッケルSC-219/50-CN-CN10.8
ステンレスSC-219/50-SS-SS13.5
銀メッキステンレスSC-219/50-SSS-SS4.6


このとき、4Kへの熱流入はケーブル1本当たり3.8mW程度、6本で23mW程度を見積もりました。実際には50kに2dBの減衰器を入れて、中心導体と外部導体の熱接触を良くしようとしていますが、この減衰量が小さいために室温(300K)からの熱が50Kで完全に取り去られることなく伝導する可能性があるので、見積もりより少し大きくなると思います。この減衰量も大きくしたいことですが、信号のことを考えるとあまり大きな減衰量を入れるのは避けるべきだと判断しました(熱流入と減衰、どちらを取るかは悩ましいです)。

jjq303dev at 23:30│Comments(0)冷凍機 

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